OG 石戸(旧姓渡邊)美奈

ある錬成会に参加した時のこと。
小学生が練習試合をしていた。
試合が終わった子供が戻ってくるなり、勢いよく襟をつかみ、怒鳴りながらその子を思いっきり左右に振り回す指導者がいた。
その子は、人形のように
振り回される。
今度は背中を思いっきりたたく。
何度叩いたかな。
あまりにも強くたたかれた勢いで
転びそうになる。
それでもまだ終わらない。

私は目が点になる。
これは、だめだよな。
ありえないよな。
今の時代にまだこんなこと
やってるやついるのか。
年配の先生だ。
先生じゃないかそんなやつ。
注意して止めに入るか。
どうしようと体が固まる。
そう考えているうちに、私の視線に気付いたのか、その人は他の試合場に行ってしまった。

その場に、残されたその子を見ると、目に涙をいっぱいためながら静かに泣いていた。

ごめん、私、指導者失格だ。
すぐ止めに入らなくてごめん。
こわい思いをさせてごめん。
見てなにもできなかった。
罪悪感でいっぱいになった。

今から追いかけて言ったほうがいいのか。
いつもこんな風にやられているのか。
いつもはもっと酷い事されているんじゃないか。
そんな事を考えていると、今度は同じチームの他の指導者が、違う子供を怒鳴っている。
指導、アドバイスではない。
キレているのだ。
イライラして。

結果がどうあれ、なんで、頑張ってる子にそんなことするの?
そんな必要あるの?
それやってなんの意味があるの?
必死になってやってきた子を
何でたたくの?
あなたのためにやってるわけじゃないでしょ?
思い通りの試合ができる人なんていないだろ。
ましてや小学生。
1人で試合場に向かい試合してきただけでもすごくないか。

今すぐ、その指導者から離れて。
道場から離れて。
暴力振られて怒鳴られる事が当たり前だと思わないで。
そんな事するなんて指導者ではない。
柔道家でもない。
早く子供達から離れろ。

行動への怒り、まだこんな人いるんだという悲しさ、今回、行動出来なかった、少女をすぐ守ってあげれなかった自分がすごく許せない。