石井孝法 185

こんにちは.石井です.
前回,「道」について勝手なことを書きました.
https://www.ryotokuji.or.jp/wp/2023/08/25/%e7%9f%b3%e4%ba%95%e5%ad%9d%e6%b3%95%e3%80%80184/

あの後,嘉納が参考にしている
東洋哲学・中国哲学を勉強し直しました.
孔子・孟子・老子・「内業」・荘子・墨子・荀子などです.

勉強し直して分かったことはやっぱり自分が無知だったということ笑
嘉納のスタンスは孔子や孟子の「道」の概念に極めて近いと思いました.
彼らの「道」は,転変する世界を前提とし,
包括的で安定した条理はなく善悪の基準を設けていません.
嘉納も柔道の定義に「精力善用」の概念は入れましたが
「自他共栄」を入れずに「道」としたのは
先人の哲学を打ち破るまでには至らなかったのかもしれません.
再度,引用しますが嘉納は
「人生の究極の目的については、
人々で種々意見が異なるであろうが、
我らはこれを、自他共栄の極致に
達するにあると信じている。[中略]
仮に何かほかのものであるとしても」云々
と述べてはいますが,
極めて堅実(謙虚)に「柔道」を定義したことがわかります.
ただ,前回と同じになりますが,
三育思想の影響も強いことからも
ハーバード・スペンサーの影響は色濃く出ています.
そういう意味では,東洋哲学の影響も極めて強いですが
日本の文化財としての柔術と自他共栄という「道」を
組み合わせたことが嘉納のオリジナリティなのだと思いました.

なんか,研究分野がバイオメカニクスではなく
人文社会学になってきている気がする.