OB 小室宏二

「心のスタミナ」

OBの小室宏二です。
先日、選抜体重別をテレビで拝見しました。

この大会は中高時代の恩師が「選抜に出られたら褒めてやる」と、認めていた大会です。
中高時代、私は一度も褒められたことがありません。
この言葉から「出場するだけでも価値のある大会」ということが分かります。
これを聞いてから、この大会に出ることは私にとって一つの目標となりました。

大学1年、私はこの年の目標であった全日本ジュニアで優勝をしました。
その後の講道館杯でも準々決勝まで進みましたがそこで敗退、敗者復活戦では気持ちが切れてしまい、
惰性で試合したことで負けてしまいました。結果は9位、選抜体重別は第1補欠となり出場することができませんでした。

その時の敗者復活戦、私はもっと頑張れたと思います。
スタミナは切れていませんでした。ただし気持ちが切れていました。
ジュニアで勝つという目標を達成したことに満足し、その先のことまで貪欲になれていなかったのです。
この時に逃がしたチャンス、再びめぐってくるまでには3年の月日を要しました。

柔道人生においてチャンスというものはそう多くあるものではありません。
毎回のチャンスを「これが最後かもしれない」という思いで、
全力でやり遂げなければ後悔することになる。私にとっては苦い教訓です。

最終的に、私は選抜体重別に3度出場することができました。
結果は全て初戦敗退です。
「出場することが目標」というレベルでは勝ち上がれない厳しい世界です。

それでも最後の選抜は、わがままを言って恩師にコーチボックスに座ってもらいました。
現役時代の集大成と思い挑んだ試合、途中に「宏二!いけ!」という言葉が聞こえたときは鳥肌が立ちました。

早稲田実業学校
柔道部監督 小室宏二