OBの小室宏二です。
今夏、中学生の東京都大会を視察してきました。
全中や関東大会に関わる大会ですから、結果によって選手たちは悲喜交交です。
最近は娘が中学生になった影響で、指導者目線だけでなく、親としても観るようになったせいか、負けて泣いている生徒を見ると「まだこれからだ、頑張れ」と声をかけたくなってしまします。
ちょうど私の幼馴染で高校の同級生ハリも、この大会で生徒を引率していました。
そこで私はふとこんな質問をしました。
小室「お前はこの試合どうだったんだ?」
ハリ『俺?俺の中学時代はまだこういうのには出ていないのよ(笑)』
ハリは中学時代、柔道はしていたけども競技としてはまだ取り組んでいなかったため、全中・関東に繋がるこの予選には参加していませんでした。ハッキリ言えば競技的には「そのレベルではなかった」のだと思います。
写真は私達が大学4年のときのものです。(左:小室、右:ハリ)
高校の同級生3人で全日本学生への出場が決まったので記念に撮りました。
全中予選にも出ていないハリですがこの年、
関東学生3位
全日本学生ベスト8
講道館杯出場
という戦績を残し、競技柔道からは一旦退いて卒業・就職をしました。
中学時代、競技者として試合にも出ていない生徒がどうやって講道館杯までたどり着けたのか。
お世辞を抜きにしても、彼の柔道はそんなに上手ではありませんでした。
左組なのに右の一本背負投と大外刈、あとは抱きつきの小外刈くらいでしょうか。
寝技もそんなに上手ではありません。身体能力はずば抜けていたかといえば、そちらも並だったように思います。
ハリの何が突出していたのかといえば「ガッツ」があったのだと思います。
とはいえ、最初からガッツがあったわけでもありません。
何しろ高校の入学前、春合宿で逃げ出していますから。
このときは「入学前に辞めたか」と思っていましたが、なんとか踏ん張って戻ってきました。彼のガッツは生まれ持ったものというよりは、必要に迫られて身につけていったものだと思います。
柔道といえば体力や技術抜きには勝負できませんが、それでも最後にその勝負を分けるのは精神力(ガッツ)だと私は思います。ハリは「何も持たない」生徒でしたが、ガッツ一つで講道館杯までたどり着いた稀有な存在です。だから同級生として密かに尊敬しています。
最後に、今夏満足のいく結果が残せなかった中学生に、私の好きな映画「キッズ・リターン」の名言を送りたいと思います。
「俺たちもう終わっちゃったのかな?」
『バカヤロー、まだ始まっちゃいねえよ』
早稲田実業学校
小室宏二