石井孝法 170

こんにちは.
ドンキーカーフレイズ・石井です.
久々にトレーニングネタを.

先日,HIITに関連する論文の抄読会を行いました.
HIITとは,
High intensity intermittent training
もしくは
High intensity interval trainingをいいます.
intermittentとintervalの違いは
高い強度の運動の間をどうするかで
休息を挟む場合はintermittentで
低い強度の運動を挟む場合はintervalになります.

HIITがHITとIが外れると
マイク・メンツァーのトレーニング理論
HDTが思い浮かびます.
HDTはHeavy Duty Trainingで
マイク・メンツァー自身がやる場合はHDTといい
それ以外の人たちがやる場合はHITになります.
HITも負荷の中に時間という概念が含まれ
非常におもしろいです.
昔,トレーニング習熟度が非常に高く
プラトーになっている人が
HITを導入するとブレイクスルーするといって
私を含め周りのアスリートたちも導入していました.
1セットオールアウトという考え方は非常に重要で,
それぞれにとってのHigh intensityを規定してくれます.
これはHIITも同様だと思います.

これらのトレーニング理論は
エビデンスに支えられておりそれをないがしろにすると
最大の効果を得ることができなくなります.
だからこそ,専門家はトレーニング理論の背景と
それを支えるエビデンスを理解する必要があります.
ということで,HIIT論文の抄読会をやりました.

日本人は,逆輸入と流行りものが大好きで
ゴミ情報をそのまま真似ているケースもあります.

アスリートのみなさんは騙されないように
エビデンスを確認したり
批判的思考で考えられるようになってほしいですね.

みなさんご存知のタバタトレーニングは
High intensity intermittent trainingのことですね.
ただ,田畑先生がTabata protocolについて
トレーニング論の大家である
Dr.Carl Fosterに確認したら
正確にはintermittentであるが
インターバルということもあるから
どちらでもよいという回答だったそうです.
(厳密に言いたがるのは日本人だけかも)

それはよいとしてタバタトレーニングは
無酸素性エネルギー供給と
有酸素性エネルギー供給の両方に
十分な負荷をかけることができるため
無酸素性と有酸素性作業能力の
どちらも飛躍的に高めることができるというものです.
詳細は記載しませんが
時間と負荷を変えてしまうと
狙っていた効果を得ることができません.
最大下運動ではなく超最大運動で
最大酸素摂取量の170%強度である必要があります.
強度をあげた場合は大丈夫でしょうと思うかもしれませんが,
220%強度で運動時間と休息の時間を変えると
狙っていた効果を得ることができないということもわかっています.

こういうことをどんどん深堀りしていくと
結局はザトペックにたどり着き
トレーニングの原理原則の重要性に気付かされます.

専門家であれば
競技特異性を理解し専門的適応を生み出すように
トレーニングプログラムをデザインする必要があります.

体力・技術の不可分な一体としての相補性を
考慮したトレーニングをデザインできる人は
非常に少ないなと感じています.

柔道でいえば,相補性を考慮すると
トレーニングの原理原則を抑えつつ,
エビデンスベースで
(エネルギー供給機構の貢献度など)
対人競技の消耗に関連する危険区域と戦術も理解して
プログラムをデザインしなければなりません.

と書いているうちに長くなってしまいました.
こんなことをずっと議論できるマニアを求めていますので
興味がある人は声をかけてください