「ビックマック」
OBの小室宏二です。
毎年、この時期になると小中学生は全国マルちゃん杯がありますね。
ここ数年は視察や審判で毎回携わるので、会場を訪れています。
私はこの大会で思い出すことがいくつかあります。
今回はその一つをご紹介します。
私は足立区立第三中学校に通っていました。
中3の時には当時、私を含めて中学生強化選手が3名おり、それなりに強いチームでした。
(関東マルちゃんは3位でした)
中学生活最後の全国大会ということで、本番に向けて気合を入れた稽古をしていたのですが、結果的に私たちは出場を【辞退】しました。
ある時、私は校長室に呼ばれました。
そこで柔道部員が警察に補導されたことを知ります。
学校をさぼってゲームセンターに行っていたところを補導され、そのことが学校にも報告されたのです。
私にとっては寝耳に水でした。
校長先生は都大会から全国大会まで、すべて私たちの応援に来てくれていましたし、
その当時の学年主任も息子さんが柔道をしており、柔道部に理解がありました。
そんな柔道に理解のある先生方でも、普段の柔道部の素行の悪さ、授業態度の悪さ、そして今回の補導には堪忍袋の緒が切れたのでしょう。
全国大会の出場を頑として認めてくれませんでした。
私は全員五厘に頭を丸めるとか、奉仕活動をするとか提案しましたがダメでした。
柔道と同じく、粘って粘って交渉しましたのですが今回ばかりは許してもらえませんでした。
結局、私の口から「出場を辞退して、もう一度学校生活を改めます」みたいなことを言いました。
正確にはなんて言ったか覚えていません。大泣きしていたことだけが記憶に残っています。
当時、私たちは足立学園で高校生と稽古していました。
三中柔道部の顧問は黒帯ということで顧問を押し付けられた、いわゆる管理顧問です。
土日を試合でつぶされ、関東大会、全国大会と引率を任され、生活問題に振り回される。
損しかない役割だったと思います。いま教員になってみると、当時のことを本当に迷惑をかけたなと思いますし、感謝してもしきれません。
そんな顧問が、泣きじゃくっている私を連れて北千住駅まで歩いていきました。
「なにか食おう」
とても食事をする気分ではありませんでしたが、顧問の先生が気晴らしに連れて行ってくれることは理解できたので着いていきました。
「ビックマックを食べよう!」
実は私、マクドナルドに行くと必ず食べるのが何も加わっていないプレーンのハンバーガーです。
シンプルなプレーンの方が好きなのと、ビックマックなんて約2個分のハンバーガー、私には食べきれない量でした。
後にも先にも、ビックマックを食べたのはあの時だけです。
ただただ泣きながら口の中にビックマックを押し込んでいました。
妙にしょっぱかったのは涙のせいかもしれません。
マルちゃん杯と聞くといつも思い出す、切ない思い出でした。
早稲田実業学校
小室宏ニ