OB 小室宏二

OBの小室宏二です。

来月に高段者大会に出ることになりました。
現役を引退してもう20年近くになりますが、試合に出ること、技を磨いていくこと、そして生徒と一緒に稽古をすることは続けていこうと思っています。

そんな指導者は多くはないのですが、そう思うようになったきっかけがあります。

私が大学2年生のころ、筑波大学の岡田監督が研修のため1年間イギリスに留学しました。
その1年間を現役選手として活動していた南條充寿先輩が監督代行を担うことになりました。一時期、プロ野球ヤクルトの古田監督が行っていたプレイングマネージャーというやつですね。

現役選手として自分のことだけでも大変な時、学生の監督をすることが容易でないことは想像できます。相当なプレッシャーだったのではないでしょうか。

南條先輩は誰よりも稽古をする監督でした。

「打ち込み〇〇本」
と言ったら言い終わるころにはもう始めていましたし、自分で〇〇本と言ったのに、それ以上のことを行っていました。それどころか稽古が終わっても研究をしていました。

学生に課した稽古内容をまず自分が行い、それ以上のものをやり込んでいるのですから、文句の言いようがありません。

ある時、山登りトレーニングがありました。
「重量級は滑って膝を怪我しないように、軽量級は俺についてこい」

文字通り、自分が先頭を切って突っ走るからついて来いという意味です。ある意味、学生の誰も自分の前を走らせないという自負すら感じました。その言葉を聞いたとき、カッコいいと思っただけでなく、こんな指導者になりたいとも思いました。
(足の遅い私は全く付いていくことができませんでした)

私にはあの時の南條先輩の背中が今も脳裏に焼き付いています。今も追いつくことなど到底できませんが、一緒に走れる(稽古ができる)監督ではあり続けたいと思っています。

早稲田実業学校
小室宏ニ