石井孝法 127

こんにちは.石井です.

前回は,
必要な情報は手に入るし
客観的な評価も簡単にできるし
となった時に
「コーチに最も必要な能力は何か」
という問いを投げかけてみました.

そこで,私の現時点で辿り着いている部分を
紹介したいと思います.

猪飼道夫先生が
「日本人の体力 心とからだのトレーニング」
の中で紹介している文章が
私の経験してきたことに一致したので
ここかなーとも感じてます.

猪飼先生がこの著書で
P・V・カルポビッチ博士の
「われわれは,
体力をどうしたら高めることができるか
という方法についてはたくさんの知識を得た.
しかし、体力をどこまで高めるべきかという
目標については五里霧中である」
という言葉を紹介しており,
この言葉が意味深長なことばであると
猪飼先生は述べている.
それはどうしてか.

体力を高める方法を知るということは
「科学」でたりるが
どこまで高めるかということになると
それは「哲学」になるからである.
「体力学」は科学の領域までしか通用しないので
それから先の「哲学」は次の段階になる.
ここに体力学の限界もあり,
一歩ふみはずすとあやまちを
おかすことになってしまう(猪飼).

科学の領域内では
自然の法則に忠実に従って
事が進んでいくが科学の領域の外に出ると,
人間の脳の気まぐれな活動に
何とも始末におえぬ
格好にしてしまうからである(猪飼).

さて,
現代のスポーツ社会とでもいうんでしょうか.
その中では,スポーツ科学が重要だと言われます.
しかしながら,出てくる科学の話は
40-50年も前に明らかになっている話ばかりです.
そして,これらの情報も簡単に手に入るとなると
コーチに必要なのは,
上記した「哲学」の部分になると思います.
目的や目標を達成するために
必要になる方法(科学的根拠に基づく)を
実践の中でどのように判断し
どのように活用するのか
を考えて,最善を明確化すること
この能力が大切だと私は考えています.

ここがAI(人工知能)に超えられたら
どうなるんでしょうね.