OB 小室宏二

「倒立前転」

OBの小室宏二です。

現任校(東京都市大学付属中学校・高等学校)で9年目を迎えました。

今回は先日、柔道部員に話したことをご紹介したいと思います。

出稽古先での一コマです。

本校の生徒で2名ほど、側転や倒立前転が出来ない子がいます。

その学校では稽古前に回転運動として側転や倒立前転を取り入れていました。

生徒がどういう行動をするか、注視していると
「何もせず歩いて」やり過ごしていました。

後日、生徒を集めてこんな話をしました。
(生徒に話したときと同じ調子で記します)

この前の出稽古先で、回転運動の時に歩いていたでしょ。
なんでやってみなかった?
(「出来ないから」という反応)

先生はこれまでも試合で負けて怒ったりしたことないよね。
回転運動が出来なくても、別に怒ったりはしない。
だからこれもお説教じゃないよ。

今現在「側転・倒立前転」が出来ないとする。
だからやりたくないという気持ちは理解できる。
ではこういう考え方をしてみて欲しい。

君たちの稽古は週に3回だけだけど、月にすると12回、年間では144回、
5年間(中1〜高2)だと720回にもなる。
その稽古の度に、1回ずつ出来ないことに挑戦したら、結果はどうなるだろう?

720回挑戦してもできないモノはできないかも知れない。
でもね720回挑戦した人と、720回逃げた人では、
おそらく何かは違ってくると思うよ。
そして「出来ないことでも720回挑戦した」という経験が君たちの中に残るんだ。

いつも言うように柔道が弱くても、倒立前転が出来なくても、
君たちの人生には大きな影響はない。

大事なことは「苦手なことから逃げてしまうこと」だと思う。
君たちはまだ未熟だし、出来ないことも知らないことも沢山ある。
でも「出来るかも知れない可能性」は沢山あるんだよ。
その可能性を自分で捨ててしまうのは勿体ないよね。

その後の経過として、彼らがどう成長したかについてはまだ観察中といったところです。

でもある時、何気なく生徒全員が当たり前のように側転をしていました。

本当に少しずつですが、彼らも成長しているようです。